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タイトル |
だいじょうぶくん |
著者 |
魚住 直子(作)朝倉 世界一(絵) |
出版社 |
ポプラ社 |
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学校からの帰り道、ぼくはひとりで歩いていた。同じクラスの子たちが前を歩いている。わらいながらしゃべっていて楽しそうだ。いいなあ、なかまに入りたいなあ。でも、ぼくは自分から声をかけるのは苦手だ。
だいじょうぶ。話しかけてごらんなさい。
えっ?びっくりしてあたりを見まわした。だれもいない。今の声はなんだ。気のせいかな。
ほらほら、そんなに前の子たちが気になるなら、話しかけてごらんなさい。
また声がした。ぼくはびくっとして、声がしたほうを見た。そこはリサイクルショップだった。店の外にワゴンがおいてあり、その中にずいぶん古そうなぬいぐるみがぽつんと入っている。これ、なんの動物だっけ? そうだ、たしか、カピバラだ。
「きみは、きのうも、おとといも、前にいる子たちの輪に入りたいと思いながら、うしろを歩いていましたよね。わたくし、ずっと気になっていたのです」
えっ! ほんとうにカピバラがしゃべった。口が動いたわけじゃないのに、たしかに声が聞こえた。
そのとき、リサイクルショップのおじさんがにこにこしながらでてきた。「それね、家具といっしょにうちの店にもちこまれたものなんだよ。もし気に入ったのなら、ただであげるよ」もらい手がないと、もうすててしまうのだそうだ。すると、カピバラがあわてた声になった。「えっ、すてられるなんてこまります。わたくしからもおねがいです。どうかもらってください」ぬいぐるみがしゃべったのに、おじさんは表情をまったくかえない。おとなには聞こえないようだ。「やっぱりいらないか。このぬいぐるみ、古いもんな」「いえ、このカピバラ、ください」もっとこのぬいぐるみと話したい。ぼくはおじさんに「さよなら」というと、うちのマンションに向かって走りだした。
●そうたくんが持ち帰った古いぬいぐるみは、自分の名前は『だいじょうぶ』といい、もちぬしの『まりちゃん』をさがしてほしいのだとお願いしました。家具といっしょにリサイクルショップに持ち込まれたのは、何か理由があるようです。しかし、『だいじょうぶ』が教えてくれた『まりちゃん』の家の手がかりは、“へやからえんとつが見える”というくらい。さて、こまりました。
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