見わたすかぎりのはたけのまん中に、トタンいたのヘイがたてられました。工場ができることになったのです。そのヘイにペンキがぬられることになりました。ペンキやさんは、どんな色にしようか考えました。春の空は、やわらかな青い色です。

「おっ、あの色がいいぞ！」

　 ペンキやさんが、青い色のペンキに、白い色を少しまぜると、空と同じ色ができました。
「ぼくがぬったぼくの空。本ものの空にもまけないぞ」

　 そのとき、黒い小さなかたまりが、ヘイにむかって、いっちょくせんにとんできました。ペンキやさんはハッとしました。でも、ふしぎなことに。ぶつかった音もしなかったし、しみもできていません。

　 よく見ると、ペンキやさんの空を鳥がとんでいます。ツバメです。