森の学校に、新しい先生がやってきました。若いキツネ先生です。キツネ先生は、たまご色のふかふかしたチョッキを着ていました。

「ホットケーキみたいな色だな」
「いや、カステラの色だよ」
生徒たちは、ひそひそささやき合いました。
「わたしの受け持ちは音楽です。そこでみなさんへのご挨拶も音楽でいたします」

　そう言うと、キツネ先生は、たてぶえを取り出し、たからかに吹き始めました。それは、カステラ・マーチという、とても朗らかで、楽しいメロディでした。生徒たちは、めいめい腰を振ったり、しっぽをゆすったりしながら、リズムに合わせました。そのうちに、みんなは、鼻までひくひくさせ始めました。音と一緒に、何とも言えないいいにおいが、辺りに漂い出したからです。そのにおいは、どうやら、キツネ先生のチョッキからしてくるようです。