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2年生の今月の本


リコとふしぎな豆の木 タイトル リコとふしぎな豆の木
著者 とき ありえ
出版社 岩崎書店
 

 むかしむかし……ではなくいま。あるところに……ではなく桜町一丁目一番地に、リコという名の、本のだいすきな女の子がすんでいました。

 リコのとっておきの場所――それは、家の玄関を上がってすぐの、階段下の小さなスペースでした。

 天井がななめにのぼりきった側のかべには、ハト時計がかかっていて、ボロのソファーがおしつけてあります。頭をぶつけそうな低い階段側には、おとうさんがつくってくれた本棚があって、わきのかべに、明り取りの高窓がありました。

 リコの部屋は二階でしたが、ベッドと棚と机でいっぱいの北向きの小部屋で、ちっともいごこちよくありません。それにくらべて、階段下のコーナーは、もう本はおやめなさい!とおいたてられないかぎり、いつまでもいたい場所でした。

 リコは学校からかえると、三じょうの床にランドセルをほうりなげて、階段下におりていきます。そして、仕事先のおかあさんが、保育園からオサムをつれてもどってくるまでのあいだを、とっておきのこの場所で、本の世界にひたってすごすのです。

 ボロのソファーにしずみこみ、おなかの上で本をひらくときほど、わくわくする瞬間はありませんでした。この日、学校からかえったリコは、いつものように階段下にやってくると、ふせたままの『ジャックと豆の木』を手にとりました。リコは数行読んで、ページをめくりました。そのとたん、なにやら黒いものが、ページとページのあいだから、シュッ! ととびだしたような気がしました。あっとおもってふりむくと、すぐわきの廊下に、ニワトリをかかえたそばかすだらけの少年が、青い瞳をまんまるにしてたっていました。

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