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2年生の今月の本


観覧車に乗ったライオン タイトル 観覧車に乗ったライオン
著者 坂本 慶子
出版社 学習研究社
 

 海辺のある町に、動物園があります。古い古い動物園です。動物たちは、秋の日をあびて、おひるねをしています。中央広場のまんなかの、まるいオリの中のライオンも、前足にあごをのせて、じっと目をとじていました。オリの前の札は、もうペンキが半分はげて、うすくなっています。ライオンが、むかし、じまんしていた金色の毛なみも、いまでは、白っぽくかわいた色になってしまいました。

「おやおや、おまえは、きょうもお昼寝かい。」

 そういって、ライオンのオリの中に入ってきたのは、飼育係の永井さんでした。
「やれやれ、きょうも、おきゃくさんは少ないな。」
 永井さんは、こしをトントンとたたきながら、外をながめました。

「まえは、もっとにぎやかだったなあ。人が多くてな、まいごのお知らせが、いつも流れておった。そうそう、このオリの前には、子どもがワッサワッサ集まってたな。ライオンがいちばんの人気者だったからな。」

 ことしの春から、動物園のとなりに遊園地ができたのです。その遊園地には、子どもたちが大好きな三回転のジェットコースターや、世界一大きな観覧車があるのです。そのせいで、この動物園にくる人は、すっかりへってしまっていました。

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