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2年生の今月の本


おばけさんとのやくそく タイトル おばけさんとのやくそく
著者 上田 真而子
出版社 福音館書店
 

 高い、高い、千メートルもある山の上に、小さな町がありました。その小さな町に、まな子という女の子が住んでいました。まな子には、お父さんとお母さんと、みっつ年上のお姉さんと、ふたつ年下の妹がいました。

  まな子の家の便所は、一番奥にありました。家が古いので、便所も古くなって、壁にへんな形のしみがついていたり、なんとなく、あちこち黒ずんだりしていました。

  その便所に入るのが、まな子はこわくてたまりませんでした。
 だって、その便所には、おばけがいたからです。
 おばけは天井にいました。天井の四隅のどこかにはりついて、入ってくる人をにらみつけるのです。
「わたしが入っているときに、おばけの機嫌が悪かったらどうしよう……」

  まな子は、ぎりぎりまでがまんしました。でも、がまんできなくなって、仕方なく便所に行くと、けっして天井を見ないで、大急ぎで用を済ませて、逃げるように出てくるのでした。

 ある時、まな子の家に、おばあちゃんがやってきました。おばあちゃんは、とてもお行儀のいい人でした。
「お人がいらっしゃったら、きちんとご挨拶するものよ。両手をそろえて、おひざにおいて、おつむを下げながら、心をこめて『こんにちは』っていうの」
と、おばあちゃんは言いました。

  次の日、お母さんのお友達がきました。まな子は早速、おばあちゃんに教わったとおり、きちんとご挨拶をしました。すると、いつもはつんとしているおばあちゃんが、にこにこしながらほめてくださったのです。

  まな子は思いました。
「そうだ! おばけと仲良しになろう。わたしがいい子だということをおばけさんに知ってもらえばいいんだ」
 まな子は、便所に入るとき、おばけさんに挨拶をすることにしました。

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