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2年生の今月の本


あなぐまこたろう タイトル あなぐまこたろう
著者 鶴見 正夫
出版社 佼成出版社
 

むかし、北の方の小さな村に、こたろうという若者がおった。こたろうの村は、山に囲まれた村。となり村へ行くのに、けわしい山をこえなければならない。冬には、ゆきがばさんこふりつもる。村のしゅうは、たくわえた食べ物を分け合って、なんとか冬を過ごしておった。

  だから、春がきて、雪がきえると村はまるで生き返ったよう。村の衆は、われもわれもと外へ出て働いた。ところが、いつの間にそうなったのか、こたろうだけはたいそうなのんきもの。みんなが働いているのに、かまわずあなを掘り出した。まるで、どうやったらうまく掘れるかと、穴掘りの稽古でもするみたい。村の衆は、あきれてしもうた。

「あいつはまるで、あなぐまこたろうじゃ」

 さて、しばらくしたある日のこと。となり村へ出かけた男衆が、はあはあいうて、逃げ戻ってきた。
「山にくまがいたんじゃ、三とうも! これじゃ、恐ろしゅうて、となり村へもいかれんぞ」

  すると、いつの間にか、さわぎをきいて、こたろうが穴からはい出してきた。
「うーむ、くまだと……。よしきた、ひきうけた。おれにまかせろ!」
「ばかな。おまえひとりで、くまをやっつけられるもんか」
「やっつけるんじゃねえよ。うまいことくまに、引っ越ししてもらうのさ」
「なにを、のんきな」
「いいからまかせろ」

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