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> あなぐまこたろう
タイトル | あなぐまこたろう | |
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著者 | 鶴見 正夫 | |
出版社 | 佼成出版社 | |
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むかし、北の方の小さな村に、こたろうという若者がおった。こたろうの村は、山に囲まれた村。となり村へ行くのに、けわしい山をこえなければならない。冬には、ゆきがばさんこふりつもる。村のしゅうは、たくわえた食べ物を分け合って、なんとか冬を過ごしておった。 だから、春がきて、雪がきえると村はまるで生き返ったよう。村の衆は、われもわれもと外へ出て働いた。ところが、いつの間にそうなったのか、こたろうだけはたいそうなのんきもの。みんなが働いているのに、かまわずあなを掘り出した。まるで、どうやったらうまく掘れるかと、穴掘りの稽古でもするみたい。村の衆は、あきれてしもうた。 「あいつはまるで、あなぐまこたろうじゃ」 さて、しばらくしたある日のこと。となり村へ出かけた男衆が、はあはあいうて、逃げ戻ってきた。 すると、いつの間にか、さわぎをきいて、こたろうが穴からはい出してきた。 |