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2年生の今月の本


コッコばあさんのおひっこし タイトル コッコばあさんのおひっこし
著者 橋谷 桂子
出版社 文化出版局
 

 コッコばあさんは、とても元気。今朝も早くから畑へでかけていきます。あるばんのこと。どうしたことか、コッコばあさんがいつになくしょんぼりしています。板の間にぺったんことすわりこんで、天井を見上げてためいきをついています。土間にねそべっていたイヌが、見かねて声をかけました。

「ばあさん、ばあさん。どっか体のぐあいでもわるいんかい?」
「いいや…」
 コッコばあさんは、首をよこにふりました。が、やっとけっしんしたように顔をあげて、こういいました。
「じつはなあ、新しい道をつくる工事がはじまってこの家がじゃまになるんで『近いうちにたちのいてもらえんか』とさいそくされとるんや」
「ひええ、そんなぁー」
 イヌはどんぐりのような目をして、しっぽをくるんとまいた。じいさんが、天国へ旅立ってからの二十年、コッコばあさんはひとりで、村はずれのこの小さな家にすんでいる。町へよめにいったひとりむすめも、まえまえから
「こっちで、いっしょにくらそう」
とさそうのだが、いつもにくまれ口をきき、わらいとばしてことわっていた。だが、だが、今夜のコッコばあさんはちがってた。まるで、空気のぬけたふうせんや。

「そいでな、やっぱりむすめんとこへ世話になろかどうしようかと、あれこれ考えていたとこや」
「……ということは、おいらもいっしょに、そっちへやっかいになるということで?」
 コッコばあさんは、にぎりこぶしをひざにおき、もうしわけなさそうにつぶやく。
「それがの、あの子の家はビルの十三階にあってな、人間だけしかすめんのやと。すまんのう」
「そんなぁ。おいらはどうすりゃあいいんだ。」

●さあ、コッコばあさんのおひっこしはどうなってしまうのでしょうか。

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