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2年生の今月の本


フーベルトとリンゴの木 タイトル フーベルトとリンゴの木
著者 アルブレヒト・リスラー
出版社 講談社
 

 フーベルトは、ある小さな町のはずれにすんでいました。フーベルトは、自分の庭にはえている大きなりんごの木がだいすきでした。毎朝おきて、そのりんごの木をみるだけで、心がはずむのです。そして夕方、仕事からもどり、窓辺からりんごの木をながめると、ほっとするのでした。

  りんごの木は、春も夏も空きも冬も、一年中フーベルトの目をたのしませてくれました。このりんごの木には、フーベルトがおさなかったころの思い出もいっぱいつまっていました。木登りしたり、かくれんぼしたり、この木でたくさんあそんで、フーベルトは大きくなったのですから。とおりすがりの人も、フーベルトのりんごの木を見あげてたちどまります。

「まあ、なんてすばらしい木なんだろう!」
 そんな声に、フーベルトも深くうなずくのでした。年がたつとともに、フーベルトの顔にはしわがふえ、ひげもだんだんと白くなっていきました。でも、毎日りんごの木を見るたのしみはかわることがありませんでした。

 ある秋の日のことです。ぶきみな灰色の雲が空をおおい、あたりをたちまち暗くしたかとおもうと、はげしい風が音をたててふきあれはじめました。やがてふりだした大つぶの雨は、どんどんいきおいをましていきます。外のようすを見に、フーベルトが窓に近づいたそのときです。ぴかっと目の前をまぶしい稲妻がはしり、大地をゆるがすようなすさまじい音がとどろいたのです。あまりのおそろしさに、フーベルトは身動きもできません。はっとわれにかえってフーベルトが庭を見たとき、そこには胸をしめつけられるような光景がありました。あのたいせつなりんごの木が、かわりはてていたのです。

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