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2年生の今月の本


ふつうのくま タイトル ふつうのくま
著者 佐野 洋子
出版社 評論社
 

 くまは先祖代々、どんなにはちみつをたくさんなめても、食べれば食べるほどさびしいのでした。それは、戸棚のなかにある赤いじゅうたんのせいでした。おじいさんのおじいさんのおじいさんのおじいさんが空をとんだ赤いいじゅうたんのせいでした。

  くまのおとうさんは、しぬときくまにいいました。
「一生かかっても、勇気をもつことはむずかしいものだ。おまえが空そらをとべるくまだと、わたしはうれしいけどな」

 くまがどこかさびしいのは、まだじぶんが、空をとんだことがないからでした。本当の勇気をもつ決心がつかないからでした。

  あるひ、くまはなにもいわないで、まどをつかんで そらをみています。くまは ぶるぶるふるえていました。そして、めからなみだを だらだらながしています。くまのいえのゆかしたに せんぞだいだいすんでいる、くまのともだちのねずみは びっくりして
「どうしたの、しっかりしたまえ」
といいました。
「きょうが そのひだとおもうよ」
 くまはふるえたままいいました。そして、いままできいたこともないような ひくいこえでいいました。
「きょうだよ。ぼく よういする」

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