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> 金色のやどかり
タイトル | 金色のやどかり | |
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著者 | 竹下 文子 | |
出版社 | あかね書房 | |
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あゆみが、耳のことに気がついたのは、海からかえったつぎの日でした。耳のおくの、ずうっとおくのほうで、ときどきへんな音がするのです。しずかにしていなければきこえないぐらいの、かすかな音だけれど、ざざーっ、ざざーっといったり、ちゃぷん、ちゃぷんといったり、さらさらさらといったりするのです。水がはいっちゃったのかなあ。あゆみは、はじめ、そうおもいました。何日かたっても、耳はそのままでした。 月曜日。あゆみは、ピアノの日でした。ピアノの先生の家は、あゆみの家から5分くらいのところです。時間におくれそうになったあゆみは走っていきました。いつものかどをまがろうとしたときです。 でもだれが注意してくれたんだろう。あゆみは、あたりをみまわしました。道にはだれもいません。でも、あの声は、子どものような声で、すぐそばで聞こえたのです。そして、ふしぎなことはそれきりではありませんでした。 ●実はあゆみが海で朝から夕方まで遊んでいたときに、耳の中にお引越ししてきたものがいたのです。それはなんとやどかり。あゆみの耳を貝殻とまちがえて入ってきたのでした。不思議なやどかりとあゆみのお話です。 |