トップページ > 読書案内 >  2年生の今月の本 > 2年生におすすめの本
 > 車のいろは空のいろ

2年生の今月の本


車のいろは空のいろ タイトル 車のいろは空のいろ
著者 あまん きみこ
出版社 ポプラ社
 

<小さなお客さん>
 空いろのピカピカタクシーが一台、とまっていました。そのうしろにしゃがみこんで、熱心にタイヤを調べているのは、この車の運転手、松井五郎さんです。

  ちっ―― っと、松井さんは、舌打ちをしました。思った通り、うしろのタイヤがパンクしていたからです。タイヤを取り替えるには、ジャッキをかけ、車を持ち上げなくてはなりません。
「ん!」
と、ジャッキについているねじ棒をまわそうとしましたが、動きません。松井さんの顔は、だんだん赤みをまして、カニのようになってきました。

「おにいちゃんのいうとおりだよ。やっぱり足が壊れたんだね」
 すぐ後ろで、かわいい子どもの声がしました。
「まるくたって、足さぁ。わかったろ」
「でも、この足、毛がはえてないね」
「すりきれたんだよ。そんなことが、まだ、わかんないかなぁ、おまえは」

 ふんばって力をこめていた松井さんは、ぷっとふきだしてしまいました。振り向くと、六つと四つぐらいの小さな男の子が、つくづくとタイヤを眺めています。
「おじさん、それ動かすの手伝ってあてようか」
 大きな目をくりくりさせて、こういったのは、兄さんのほう。
「ああ。ぼうやたちが手伝ってくれたら、さぞ、助かることだろうよ」
 松井さんは、ほんの息抜きのつもりで交替しました。

「一、二、三! ほら。」
「一、二、三! ほら。」
 ふたりが、そろって大きなかけ声をかけ始めました。すると、どうでしょう。車が少しずつ、持ち上がり出しているのです。あっけにとられた松井さんは、ぽかっと口をあけたままになりました。

  松井さんは、お礼に男の子たちを車に乗せてあげることにしました。二人は大喜び。さあ、空いろの車でドライブです。

●この二人の兄弟は、一体何者なのでしょうか? 普通の男の子ではなさそうですね。この本には、この他にも7つのお話が入っています。
「白いぼうし」は、教科書にも載っているお話です。松井さんの空いろのタクシーには、いつも不思議なお客さんが乗ってきますよ。

Page Top