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3年生の今月の本


先生のつうしんぼ タイトル 先生のつうしんぼ
著者 宮川 ひろ
出版社 偕成社
 

 給食のおかずは、のこさず食べましょう――。そう決めたのは、先週の学級会のときです。というのも、三年一組は食べのこし、学校一なのです。たんにんの古谷先生は、のこしてもいいと言ったけど、学校一はやっぱりはずかしいので、クラスのみんなで、のこさずに食べようと決めたのでした。

  それから、十日ぐらいすぎてからです。この日の給食は、にんじんのたくさん入ったカレーでした。ごろうは、ふと、先生の口元へ目がいきました。先生は、にんじんを口に入れ、入れたと思ったらポケットからちり紙を出して、左手でふきました。どうも、そのふき方がおかしいのです。

  あっ、ごろうは思わず、声をあげそうになりました。先生は、一度口に入れたにんじんを、ちり紙の中へ出しているようです。ごろうは、ばらしたら先生がかわいそうだと思いました。それよりも、そんなひみつは、自分だけでしまっておきたいとも思ったのです。でも、ただだまっているだけでは、おもしろくありません。そうだ、先生のつうしんぼをつけてやろう……ごろうはそう思いました。

●古谷先生は、にんじんが苦手なことを正直にクラスのみんなに打ち明けます。つうしんぼをつけているうちに、飾らずまっすぐな気持ちで生徒たちと接する古谷先生が、吾郎は大好きになります。途中から登場する蚕の話も興味深い作品です。

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