トップページ > 読書案内 >
3年生の今月の本 > 3年生におすすめの本
> ことりをすきになった山
|
タイトル |
ことりをすきになった山 |
著者 |
アリス・マクレーラン |
出版社 |
偕成社 |
|
あれはてた野原に、ぽつんと岩だらけの山がそびえていた。ごつごつした山には、草や木が一ぽんもはえていなかったので、けものもとりも虫も、まったくすめなかった。ある日のこと、どこからか一わのことりがやってきた。ことりは岩かどにとまって、はねをつくろった。空からこんなものがおりてきたのははじめてだ。山は、わくわくしてたずねた。
「そこにいるのはだれだね? 名まえをおしえてくれないか。」
「わたしはことりよ。名まえはジョイ。まい年春になると、巣をつくりひなをそだてる場所をさがしてたびにでるの。ここでやすませてもらったら、またでかけます。」
「どうしてもいってしまうのかい? ここにいてもらうわけにはいかないかね。」
ジョイはくびをふった。
「ここにはたべものもないし、水をのもうにも小川ひとつないんですもの。」
「それじゃかならず、またきておくれ。」
山は、心をこめてたのんだ。
またきてほしいなんていってくれる山にはじめてであったジョイは、春になったらかならずたちよるとやくそくした。山のようにながいきはできないので、むすめにジョイという名をつけ、同じように山に来させることを。そして、その子のむすめにも……。こうしてジョイの名をうけつがせて、なん年たっても山がジョイにあえるよう、やくそくをしたのだ。
●春がめぐってくるたびに、山には一わのことりがおとずれるようになりました。山はきまって
「なんとかここにいてもらえないかね?」
とたずね、ジョイはいつも
「それはむりだわ。でも、らい年の春もかならずまいります。」
とこたえました。しかし、山はジョイをみおくるのがつらくてたまらなくなってしまい……。何百年もかけた、山とことりのふれあいを描いた、感動的な作品です。
|