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3年生の今月の本


ぼくのお姉さん タイトル ぼくのお姉さん
著者 丘 修三
出版社 偕成社
 

 学校で、作文のしゅくだいが出た。自分の兄弟のことを書くというかだいだった。ぼくは、二人っきりの兄弟だから、お姉ちゃんのことを書くよりほかにない。だけど、そのお姉ちゃんは、ダウンしょうというしょうがい者だ。

  ぼくは、お姉ちゃんがいてよかったことってない。17才だというのに、まんぞくにひらがなさえ読めないし、数の計算もできない。せたけだって、5年生のぼくとほとんどかわらない。どこをとっても、じまんできるとこなんて、なんにもない。つくえの上に作文用紙をひろげたまま、ぼくはほおづえをついて、ぼんやりとしていた。『ぼくのお姉さん』とだいを書いたまま、その先にちっとも進まなかった。

  その日の夕方、ふくし作業所から帰ってきたお姉ちゃんが、
「えとあんく!」
と、台所のゆかに大の字になってわめいた。お母さんが、
「レストランのことなの? もう、夕ごはんのしたくできちゃったのよねえ。明日じゃだめ?」
と言っても、
「らめ、えとあんく!」
と、きかない……。

●二十数年にわたって、養護学校の教師をつとめた作者の、六編の作品集です。それぞれに、障害者と非障害者が、「共に生きる」ということをテーマにした物語が描かれています。ふだん、“人の心の痛み”を思いやることができているのか、自分に語りかけられているような気持ちになる作品です。

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