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3年生の今月の本


いつか、おかあさんを追いこす日 タイトル いつか、おかあさんを追いこす日
著者 安藤 美紀夫
出版社 小峰書店
 

「どこへ行ってたのよう。モユちゃん」
 友子は、ひざにのせたたぬきのモユちゃんの顔を、ピシャピシャたたきながら言いました。モユちゃんは、ゆうべ一晩帰ってこなかったのです。こんなことはただの一度もなかったのでした。

  モユちゃんが友子のうちへ来たのは、友子が小学校へあがる前の年でした。友子はお父さんとお母さんに連れられて、家から少し離れた山へ行きました。くまざさの茂みの間の細い道を歩いていた時です。

「あれは、たぬきじゃないか」
 お父さんが声をひそめて言いました。茂みの向こうの浅い草地に、親だぬきと子だぬきが四、五ひきいるのが見えました。その時です。友子は草のつるに足をひっかけて、大きな泣き声をあげてしまいました。その拍子に、たぬきたちは逃げてしまいました。が、一匹だけが逃げることができなくて、その辺をうろうろしています。その時から、友子は子だぬきのお母さんになりました。

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