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3年生の今月の本


こっそり おてがみ タイトル こっそり おてがみ
著者 内田麟太郎(文) 福田岩緒(絵)
出版社 草土文化
 

 友だちがほしいのに……。口をきくのがはずかしい。そんなはずかしがりやのタヌキが、その山の小川のほとりにもいました。それも、川上に一ぴき、中流に一ぴき、川下に一ぴき。あわせて三びきも。三びきは、同じ山でくらしていながら、たがいに、たずねていったことも、口をきいたこともありませんでした。
 ――その日も、中流のわかいタヌキは、ひとりぽっちのさびしさに、小川のほとりでちゅくちゅくちゅくとネズミのしっぽをしゃぶっていました。「こんなときに、友だちがいてくれたらなあ。」そう思っていたとき、はっとひらめきました。はっとなりすぎて、小川へはまりかけるほどに。
 「そうか。てがみを出せばいいんだ!」
 なんといい思いつきでしょう。『おてがみをください。 タヌキ』わかいタヌキは、さっそくまっ白な紙にふでをはしらせ、川下へ流れていくささ舟にてがみをのせたのでした。 

●その日から、わかいタヌキは手紙の返事にそわそわ。ミミズを食べるのもそこそこに、小川が気になって仕方がありません。そのうち、返事のなかなか来ない理由を「ぼくをこわがっているのかな」「おとなしいと思われているのかな」「おっちょこちょいだと思われたかな」などと、あれこれ考えはじめます。うれしい日は、はたしてやってくるのでしょうか。新しいお友達ができる時の、期待と不安が入り混じった気持ちに、きっとお子さんも共感することでしょう。

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