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3年生の今月の本


こん虫博士の大冒険 タイトル こん虫博士の大冒険
著者 小林 しげる(作) 関屋 敏隆(絵)
出版社 文研出版
 

 信ちゃんはみんなからこん虫博士とよばれています。けれども、本当はちがいます。一年生の時も、二年生の時も、信吾は夏休みの宿題で、せみやちょう、くわがたなど、たくさんのこん虫を集めたり、名前を調べてきたので、みんなは目を丸くしておどろきました。しかし、それはみんなおじいちゃんやお母さんの協力あってのことなのでした。

 さて、今年こそは自分の力でこん虫採集をしなければと思って、信吾は公園にやってきました。ところがいったいどうしたというのでしょう。こん虫はどこにもいないのです。木にのぼっても、地面をほっても、木立の中の草をかき分けても……。

「おかしいなぁ、みんなどこへいってしまったんだろう。」

 さがしつかれて、ベンチにこしをおろし、とほうにくれたようにつぶやいたときです。

「信ちゃん、信ちゃん……。」

 どこかで信吾の名をよぶ小さな声がしたかと思うと、きゅうに、目の先の地面がもくもくっともり上がり、一ぴきのかぶと虫が出てきたのです。

「あっいた。かぶと虫いた!」

 あわてて補虫網をさしだした信吾に向かってかぶと虫は言いました。

「信ちゃん、いくらさがしたって、もうここには、こん虫はいないよ。」
「ええーっ、こん虫がいないだって?」

●三年生の信吾に対して「地球はね、人間だけのためにあるんじゃないんだよ」「昔みたいに、虫たちの住みやすい町にするにはどうすればよいのか」という問題がなげかけられます。この夏、自由研究に昆虫採集を、と考えておられるお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。お子さんにとって身近な「昆虫」という視点から、この機会に環境について少し考えてみてはいかがでしょうか。

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