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3年生の今月の本


アカギツネとふしぎなスプレー タイトル アカギツネとふしぎなスプレー
著者 美田 徹(作) 田代 知子(絵)
出版社 旺文社
 

 古くからの友人のアカギツネが、ぼくの山小屋をたずねてきた。アカギツネの目的は、ぼくが大事にとっておいたごちそうと、ぼくが長年とりかかってきた発明品だった。
「先生、新製品はもうできあがったんですか。」
「まだ、試作品だよ。」
 アカギツネは、研究室からスプレーを持ってきて言った。
「これがその大事な発明ですか。」
「そうそう。」
 シューとふいて、出てきたけむりに向かって言った言葉が、ゴトンと石になっておちてくるのだ。“ハハハ、おもしろいですね”。ゴロンゴロンゴトン。声が全部石になっておちてくる。“先生、おめでとうございます。どんどんのみましょう”“うむ”そこらじゅうに声が落ちて、何を言ったかわからなくなってきた。

  ぼくは、アカギツネが持ってきたワインで、すっかりよっぱらって、ねむってしまった。よく朝めざめると、ゴゴーッという、でかいいびつな文字が体の上からゴロゴロと転がり落ちてきた。ぼくのいびきだ。そして、イスの背には、これかりていきますと小指ほどの小さな文字がひっかかっていた。

  アカギツネを探しに、外へ出てみると、カリカリという細い字が一面にちらばっていた。木に引っかかっているコツコツコツコツという字は、キツツキのすから出ている。「こりゃ、のんびりしていられないな。」とぼくは、スプレーをとりもどそうと、アカギツネの家にむかった。

●アカギツネの通った後には、いろんな言葉がいろんな形で残されていて、それが笑いを誘います。のんきな先生と、とぼけたアカギツネの会話も、とてもコミカルです。そもそも、この先生は、何のためにこんなスプレーを発明したのでしょうか。お話を読みながら、もし本当に言葉が石になって残ったらどんな風だろうかと考えると、案外いろんな使い道が見つかるかもしれませんね。

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