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-北の町のかばん屋さんの話-

3年生の今月の本


ゆめみるトランク<br>
-北の町のかばん屋さんの話- タイトル ゆめみるトランク
-北の町のかばん屋さんの話-
著者 安房 直子(作) 津尾 美智子(絵)
出版社 講談社
 

 北の町はずれの小さなかばん屋は、三代もつづいた古い店でした。この店の三代目の主人の一郎さんは、すばらしいカバンをこしらえることができましたが、できあがったかばんを売ることは、へたでした。ひと月にせいぜいふたつ、かばんが売れればそれでいいと、一郎さんはおもっていました。

  ある朝、店のショーウィンドーにかざられた、トランクがパカッと口をあけて、いいました。
「かばんは、かばんらしいくらしがしたいよ。中にいろんなものを入れて、旅にでたいのです。あなたとぼくとで、あたたかい南の町に旅にでましょう。」
 そこで、一郎さんは、トランクの中に、たくさんのかばんを入れて、南のまちに売りにいくことにしました。

  かばんは、またたく間に売れてしまいました。一郎さんは、南の町で、水せんの花たばを買って帰り、お店のショーウィンドーにかざりました。北の町はまだ冬でしたが、ショーウィンドーだけは、もう春でした。それから、一郎さんのかばん屋さんには、ちょっと変わったお客さんたちが、訪ねてくるようになりました。腕のいい一郎さんは、お客さんにぴったりのカバンを作ってあげるのでした。

●トランクとの旅をきっかけに、しずかだった一郎さんのお店には、幸せが訪れはじめます。お店の住人も、一郎さんとトランクに、奥さんのゆき子さんと、ゆき子さんのねこが加わって、にぎやかになりました。そして、ていねいに心のこもったかばんをつくってくれる一郎さんのお店は、かばんを売るだけでなく、お客さんを幸せな気持ちにしてくれるお店になります。北の町にある、かばん屋さんを舞台にした、こころ温まる物語です。

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