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3年生の今月の本


パンやのくまちゃん タイトル パンやのくまちゃん
著者 森山 京
出版社 あかね書房
 

 町のはずれに、パンやがありました。おじさんがパンを焼き、おばさんがそれを売るという、小さな店でした。ある朝八時、おばさんが店のカーテンを開けました。とたんに
「ひゃあ……」
 おばさんは、一声叫んで、それきり黙ってしまいました。入り口のガラス戸にへばりつくようにして、くまの子が一ぴき、こちらを見ていたのです。後ろ足で立ち、鼻先をぺしゃんこに押しつぶすくらい、ガラス戸にくっつけて。

「こりゃ、おどろいた。くまの子のお客とはね」
 くまの子は、おいしいそうなパンのにおいにさそわれてやってきたのです。
「お金、持ってるの?」
 おばさんが聞くと、
「持ってない」
とくまの子は答えました。お金がなくては、パンは売れません。しかし、おじさんは
「せっかく遠くから来てくれたんだ。今日だけ、特別にしておこう」
と言って、クロワッサンを一つ、くまの子にあげました。

「途中で食べるんじゃないよ。食べたくっても、我慢しておうちへ持って帰るんだよ」
 おばさんが言いました。
「うん。我慢する。あんがと」くまの子は、おじぎをひとつすると、かけ出していきました。

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