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3年生の今月の本


また七ぎつね自転車にのる タイトル また七ぎつね自転車にのる
著者 木暮 正夫(作) 渡辺 有一(絵)
出版社 小峰書店
 

 田中一郎さんは、九(く)さか村という山おくの村で、ゆう便の配達のしごとをしています。ある朝、一郎さんが仕事に出かけるとき、お母さんがいいました。
「分校の石黒先生が、このあいだ、きつねのまた七(しち)にだまされたっていうよ。気をつけておくれよ。」

  その日の配達のとちゅう、一郎さんが、とうげで、おじぞうさんにねがい事をしていると、きつねのまた七があらわれました。そして、ねがい事をかなえてあげる代わりに、自分にゆう便を配らせてほしいと、言うのです。また七は、わけあって石黒先生を化かしたのですが、そのため、すっかり、ひょうばんを落としてしまいました。そこで、ゆう便配達でもして、みんなの役に立つことで、名よを回ふくしたいと、考えたのでした。また七が悪いきつねではないと知っていた一郎さんは、言いました。
「ぼくも、おまえの名よを回ふくさせてやりたいさ。でも、ゆう便を配たつするためには、勉強しなくてはな。字が読めて、算数ができるようになって、自転車にものれるようにならないとダメだ。」
 そういわれて、まずは、一人で自転車の練習をしてみた、また七でしたが……。

●山奥の村を舞台にした、人ときつねのほのぼのとした物語です。実は、一郎さんの願い事とは、「これ以上かみが少なくなりませんように。役場のサチ子さんにきらわれたくないのです。」という、ほほえましいものでした。こんな一郎さんをはじめとして、登場人物の人柄は、素朴でやさしくて、まじめで、どこか親しみを感じさせてくれます。こんな村が、どこかの山奥に本当にありそうな気にさせられることでしょう。

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