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-話してごらん、だれかに-

3年生の今月の本


パパと怒り鬼<br>
                  -話してごらん、だれかに- タイトル パパと怒り鬼
-話してごらん、だれかに-
著者 グロー・ダーレ(作)
スヴァイン・ニーフース(絵)
出版社 ひさかたチャイルド
 

 ぼくは今日も耳をすます。パパはきげんがいいかな? だいじょうぶ、パパはおちついてる。きげんがいい時、とても大きくてやさしい、ぼくの大すきなパパなんだ!

 次の日、今日のパパは、なんにも言わない。どうしてだまっているの? きげんがわるいの?
「しーっ、静かにしてなさい」
とママが言う。ぼくの足はふるえてる。しばらくして、ぼくはパパに
「きげんよくなった? おこってる?」
と、聞いてみた。パパは、
「おこってないのに、おこってるなんて言わないでくれ」
と言う。でも、その声には、ちょっと気になるトゲがあった。それがだんだんとがってきて、ナイフのような声になった。
「おこってなんかいないぞ!!」
 パパの声の後ろには、何かがいる。怒り鬼だ。
「うんといい子にしてるよ。もう一言もしゃべらないよ」
と、あわててぼくは言ったけど、もう怒り鬼は止められない。ママが、急いでぼくを部屋からつれ出して、子ども部屋に入れた。それでも、怒り鬼は追いかけてくる。何も聞きたくない、見たくない、考えたくない。こんなパパを見れば、だれだって怒り鬼がいることに気がつくのに……。でも、パパだけはそれに気づかないんだ。

●ちょっとしたきっかけで豹変する大好きなパパの姿が、子どもの目線から描かれています。「お父さんお母さんのことは大好きなのに、でも……」という心の葛藤には、胸が痛みます。お子さんはもちろん、親御さんにもぜひ読んでいただきたい作品です。

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