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3年生の今月の本


三年二組の転校生 タイトル 三年二組の転校生
著者 小暮正夫(作)福田岩緒(絵)
出版社 教育画劇
 

 おしゃべりでにぎやかな朝の教室に、たんにんの中西まりえ先生がやってきました。青っぽい半ズボンの男の子がいっしょです。体は大きい方ではありませんが、気の強そうな顔をしています。「あっ、あの子……」りょう子は声をあげかけて、口に手をあてました。(おとといの土曜日の夕方、トキワ病院の階だんのとちゅうで、ぶつかった男の子だわ……)りょう子はその男の子から、くやしい思いをさせられたのです。肩が、ちょっとぶつかっただけなのに、「どこに目をくっつけているんだよォ、どじ! オタンコナス! 病院でけがなんかしたら、みっともないだろ!」とどなられました。りょう子は、男の子のけんまくにのまれて、あやまってしまいました。でも、男の子が注意して上がってくればぶつからないですんだのに…と思うと、りょう子は自分ひとりがわるものにされたみたいで、くやしくてたまりませんでした。
その男の子が今、教だんに上がっています。「では、自己しょうかいをしていただきましょうか。」中西先生は、男の子を教だんのまん中に、おし出しました。「おれ、山田タツヨシ。おこりっぽいから、そのつもりでな。」ぶっきらぼうに言いました。「転校してきたくせに、いばってやんの。なまいきだよ。たいどがでかすぎるんじゃないか。」教室がざわつきました。そんな声にもかまわず、山田くんは席へまっすぐに足をはこんで、ランドセルをつくえの上に、ばんとおきました。

●転校生の山田くんは、りょう子が病院でぶつかった男の子でした。りょう子は気が強くて言葉も乱暴な山田くんのことが苦手でしたが、その態度の裏にあるさびしさを知ったことで少しずつ距離を縮めていきます。だんだんと周りと打ち解け、変わっていく山田くんに注目して読んでみてください。

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