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3年生の今月の本


とびばこバーン タイトル とびばこバーン
著者 升井 純子(作)おくはら ゆめ(絵)
出版社 講談社
 

 今日は学校にいきたくない。それがだめなら、とびばこだけ、やりたくない。みんなは上手にぽーんととぶけれど、野花(のか)がやると、とびばこはがちがちでごつごつな岩になる。うつむいていると、お気に入りのツインテールも下を向いている。
 二時間目の体育は、やっぱりとびばこだった。四だんのとびばこをみんなリズムよくとんでいき、とうとう野花のばんになってしまった。「手をのばすのよ」「上にぐぐってジャンプするんだよ」できる人は、いろんなふうに教えてくれる。でも、そのたびに野花のむねはちくちくする。(わかってるんだけどさぁ……。できないのよ……。)思い切ってスタートを切ったけれど、ジャンプして手をついて、それっととびはねたら、バランスをくずして、とびばこの横に落ちてしまった。思ったとおり、やっぱりだめだった。くすん くすん なきたくないのに、なみだが出てくる。口をおさえて、野花は下を向いた。
 帰り道の公園の一本道で、足がだんだんとおそくなって、野花はランドセルをしょったまま、そこにしゃがみこんだ。小さくてころんと丸い花、シロツメクサがたくさんさいている。野花の大すきな花だ。ぷちん ぷちん シロツメクサをつんで首かざりをつくりながら、しゃがんだまま草の中を進んでいると、だれかがネコジャラシをぶんぶんふりまわして、近づいてきた。見上げると、みちる先生だった。みちる先生は、野花のクラスに先週から来ている見習いの先生だ。ふわふわのブロッコリーみたいな頭をしていていつも明るくて元気だ。野花は元気なみちる先生がちょっと苦手だった。

●とびばこがうまくとべない野花と教育実習生のみちる先生との交流を描いた物語です。みちる先生には授業がうまくできない悩みがありました。いつも元気な先生にもそんな一面があると知って、野花は自分がとびばこをとべるようになれば、みちる先生を元気づけられるのではないかと思うようになるのでした。

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