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3年生の今月の本


日なたぼっこねこ タイトル 日なたぼっこねこ
著者 今江 祥智
出版社 理論社
 

 ねこのクレはたいくつしていた。
(どうしてなんだろな。はじめは―ううん、ずうっとこんなことなんてなかったのにな……)

 はじめ―というのは、クレがここにつれてこられたころのことだ。

 ここ―というのは、シュノンソーという小さな村のことだ。村の人は、クレがこの村にやってきた日のことをよくしっていた。それからあとのクレの、この村でのくらしっぷりもまた、たいていの村人がしっていた。クレはまるで村人の一人みたいに、みんなによくしられた「顔」なのである。

 けれど、いったいだれがクレのことをこの村につれてきた――いや、むしろはこんできたというほうがよいか。そのことは、村の人のだれもしらなかった。

 さいしょに気がついたのは、ミシェル老人だった。クレは、クリスマスのチョコレートケーキみたいな小さな小屋のうらにおかれて――いや、はっきりいってすてられていたのだった。

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