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タイトル | カラスのいるゆうびん局 | |
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著者 | 杉 みき子 | |
出版社 | 小峰書店 | |
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この町には一本の杉の木が立っていました。この杉の木は、町の人たちみんなに愛されていました。しかし、その杉の木のあるところに、突然、郵便局ができることにななったのです。ここに新しく郵便局ができれば、とても便利になることは確かです。しかし、問題はあの杉の木です。それほど広くもない空き地に、新しい建物をつくるとなると、そこにある木はどうしたってじゃまになるでしょう。 近くに住んでいる日曜画家の森村さんは、この木が大好きで、今までに何枚もこの杉の木の絵を描いています。もうすぐ切られてしまうなら、今のうちに、一枚でも多く、その姿を描き残しておこうと、毎日のように、杉の木をスケッチに通いました。しかし、心が沈んでいるせいか、いつもの調子がでません。いつの間にか、手が動いて、木のスケッチをした紙の上に、勝手ならくがきをしていました。 「こんならくがきをするなんて、気持ちが集中していない証拠だな。今日は、もうやめにしよう」 |