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3年生の今月の本


シランカッタの町で タイトル シランカッタの町で
著者 さえぐさ ひろこ(作) にしむら あつこ(絵)
出版社 フレーベル館
 

 体育のドッジボールが始まったとたん、ボールからにげようとしたぼくは、コートの中でハデに転んだ。そのあとすぐに、ぼくのせなかにボールがいきおいよく当たった。「さすが、よわっち」だれかがぼくをバカにする声がきこえた。
 ぼくは、よだかずき。クラスのみんなからは、「よわっち」とよばれている。さいしょは「よだっち」だったはずなのに、それがこんなよばれ方をするようになったのは、いつからだろう?とびばこの上を、赤ちゃんのように四つんばいで歩いたときからか?小さなカエルにおどろいて、田んぼの中でしりもちをついたときからか?思い当たることなら山のようにあるから、もう自分でもわからない。
 ドッジボールなんて、早くあてられた方が気が楽だ。そう思いながらコートから出ると、最初から外にいたさなちゃんが、小さな声で言った。「よだくん、だいじょうぶ?」「うん」ぼくはひざの砂をはらいながら答えた。さなちゃんは、家が近所で、ようちえんでも同じ組だった女の子。クラスでただ一人、ぼくのことを「よだくん」とよぶ。前は「かずきくん」ってよんでくれていたけど、ほかの女子から冷やかされてから、きゅうにおとなしくなった。ぼくと仲良くしてるのを、他の子からなるべく見られたくないみたいだ。かなしいけど、ぼくは「よわっち」だから、それも仕方ないか・・・。

●クラスメイトから、いつも「よわっち」とバカにされているかずき。悔しい気もちはあるけれど、いつも失敗を繰り返してしまう自分に自信がもてません。ある日、不思議なおばあさんから手渡された万華鏡を覗いたことで、現実世界とは何もかもあべこべな「シランカッタ」という町に入り込んでしまいます。そこで出会ったのは、思い立ったらすぐに行動する活発な女の子「キズカ」。かずきは、キズカと一緒に過ごす時間の中で、これまで何でもすぐに諦めていた弱い自分と向き合うようになっていきます。

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