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3年生の今月の本


ねむの花がさいたよ タイトル ねむの花がさいたよ
著者 にしがき ようこ(作) 戸田 ノブコ(絵)
出版社 小峰書店
 

 ランドセルをせおって顔をあげると、もう教室はがらんとしていました。いつの間にか、ほかのみんなは帰ってしまっていたようです。先生の「さよなら。元気だしてね」という声に、あたしはいつもより大きな声であいさつをしました。(あたし、元気だもん)背中をぴんとして外に出ました。
 とつぜんママが亡(な)くなったのは、この間の夜、いつものように電話してきたすぐあとのことでした。
 「じゃね。あした帰るから」電話で聞いたその言葉が最後でした。
 ママは、仕事でよく出張(しゅっちょう)に行っていました。おじいちゃんとおばあちゃんがいるから夜もこわくないけど、ママがいないとやっぱりさみしいです。ママの出張中は、いつも夜になるとかかってくる電話が楽しみでした。でも、最後の夜、あたしに電話をかけてきたあとで、ホテルのおふろに入り、心臓にショックをおこしてそのまま亡くなってしまったのです。
 とても急なことで、みんなは大さわぎになりました。でも、あたしはぼうっとしたままでした。意味のわからない言葉をたくさん聞きました。いろいろなことが、あらしのように目の前を通りすぎていきました。パパが亡くなったのは、あたしが赤ちゃんのときだったから、よくおぼえていません。でも、それから十年たって、ママもいなくなってしまいました。

●小学4年生のきららは、幼い頃にお父さんを亡くした後、お母さんと親子仲睦まじく暮らしていました。でも、ある日突然お母さんも亡くなったことで、心の支えを失ってしまいます。自分では何とか平静を装おうとしても、両親がいなくなってしまったショックは、まだ幼いきららにとっては抱えきれないほど大きなものでした。
 周囲の人達との衝突や心の葛藤などを経て、祖父母や叔母の支えを得ながら、少しずつ悲しみから立ち直っていく心の動きが、子どもの目線から細やかに描かれています。

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