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> あたらしい子がきて
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タイトル |
あたらしい子がきて |
著者 |
岩瀬 成子(作) 上路 ナオ子(絵) |
出版社 |
岩崎書店 |
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お父さんはこのごろ、かんたんなおかずしか作りません。まえは、ポークソテーとかトンカツとかカレーとかも作ってたのに。でも、それはしょうがないなあ、とわたしは思います。これからは、お父さんとわたしと妹のるいの三人で生きていくんだもの、と思います。わたしたちをおいて、お母さんは出ていってしまったのです。それで、三人で力を合わせてくらしているのです。
電話が鳴りました。「あ、お母さんだ」るいはそう言って、電話のところに行きました。るいは、元気な声で楽しそうにお母さんとしゃべっています。そうなのです。本当は、お母さんは家を出ていったわけじゃなくて、赤ちゃんを産んだから、今だけおばあちゃんの家に行っているのです。赤ちゃんは、わたしの弟です。
「赤ちゃんを産んだあとは、すごく体がつかれているから、お母さんはおばあちゃんの家で、しばらく休むことになったんだ」と、お父さんが言いました。お母さんは、きっとわたしにすごく会いたいんだろうなと思っていたので、なんだかがっかりしました。お母さんが赤ちゃんといっしょにおばあちゃんの家に行ってしまうと、わたしはだんだん自分が忘れられちゃってるのかも、と思うようになりました。わたしはもうあたらしい子どもじゃなくなっちゃったんだし、しょうがないのかもしれないと考えると、なんだかいやな気もちになりました。そう思うと悲しい気もちになりそうだったので、わたしは、「お母さんは出ていったんだ」と、考えることにしたのです。
●みきは、お母さんが出産のため留守にしているさみしさを紛らわせようと、「お母さんに忘れられた、かわいそうな子」のフリをすることにしました。「かわいそうなのに頑張る、強くて、心がきれいで、顔もかわいくて、頭もいい子ども」を目指すことにしたのです。
新しいきょうだいが誕生すると、お姉ちゃんやお兄ちゃんになった子は、どうしても「お母さん・お父さんを取られてしまう」と複雑な感情を抱くことになります。子どもの目線に立った両親や祖母の描写には、お母さんお父さんも思わずハッとさせられるかもしれませんね。
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