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3年生の今月の本


ぼく先生のこときらいです タイトル ぼく先生のこときらいです
著者 宮川 ひろ(作) 長野 ヒデ子(絵)
出版社 偕成社
 

 中野(なかの)正夫(まさお)は、きのう二年生をおえました。きゅうに、せが高くなったような気がしていますが、まだ三年生にはなっていません。いまは、二年生でも三年生でもない、ちゅうぶらりんの春休みです。
 「よーし、春休みのうちに、まだ行ったことのないクラスの子の家を見に行ってみよう」正夫はつぶやきながら、自分の町の地図をながめました。まず行ってみようと思ったのは、二年生のさいごで同じはんになった、山本さんの家です。山本さんは、本をよむのが好きで、べんきょうもよくできる女の子です。先生が教えてくれたけん玉でみんなが楽しんでいるときには、「勉強するための教室で、なんであそばないといけないのよ」なんて言ったりします。“おすまし”な山本さんはどうもとっつきにくくて、正夫はうまくなかよくなることができませんでした。
 じてんしゃで向かうと、習い事から帰ってきた山本さんにばったり会いました。「あら、中野くん、どこへ行ってきたの?」いつもしずかな山本さんが自分から声をかけてきました。山本さんは「三年生になったらクラスがえもあるし、先生もかわるのよね」とうれしそうに言いました。二年生のとき担任(たんにん)だった平山先生は、いつも正夫たちの話を聞いてくれて、おもしろいことをたくさん教えてくれました。正夫は平山先生のことが大すきでしたが、どうやら山本さんは、早くクラスがえをしてほしかったようなのです。

●三年生のクラス担任は、地域で有名な「良い学校」から異動してきたという、三田先生でした。平山先生とは正反対のタイプの三田先生は、正夫たちの日常生活から厳しく指導していきます。最初は持ち前の明るさで先生と仲良くなろうとした正夫でしたが、逆に叱られることが増え、日に日に元気がなくなっていきます。反対に、二年生のときはつまらなそうにしていた山本さんは、先生から様々な役割を任されるようになり、水を得た魚のようにとても明るくなりました。
 先生も一人の人間ですから、子ども達との相性は必ずあります。「合う先生、合わない先生」との関わりの中で、うまく認めてもらえない葛藤やそれを乗り越えて成長する子ども達の姿を描いたお話です。

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