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3年生の今月の本


お昼の放送(ほうそう)の時間です タイトル お昼の放送(ほうそう)の時間です
著者 乗松 葉子(作) 宮尾 和孝(絵)
出版社 ポプラ社
 

 ずっと前から「ぜったい放送(ほうそう)委員(いいん)になろう」って決めていたあたしは、それぞれの委員を決めるとき、まよわず放送委員に手をあげた。ダントツ一番人気の放送委員には、ほかにもたくさん手があがって、たちまち教室でじゃんけん大会がはじまったけど、あたしと仲良しのきりちゃんは、みごとに勝ち残った。「かえでちゃん、いっしょにお昼の放送やれるといいね」と、きりちゃんが言った。あたしはうれしくて、なんだかわくわくしてたんだ。
 そして今日は、放送委員会のはじめての集まり。くじの番号順に放送の担当(たんとう)の曜日を決めるとき、1番くじをひいたあたしは、まっ先に金曜日のお昼のところに名前を書いた。だって、金曜日って一週間の中で一番おしゃれな感じがするんだもん。きりちゃんのくじは十番。きりちゃんの順番になるまで、だれにも金曜日のお昼を取られませんように・・・。でも、あとひとりできりちゃん、というところで、信じられないことがおこった。おちょうしものの“こうへい”が「オレ、ここ!」と、あたしのとなりに名前を書いたのだ。
 「おねがい!あたしたち、いっしょにやりたいの」きりちゃんがかわいらしくお願いポーズをしたのに、こうへいは「そんなの知らねえよ。オレ、金曜日がいい」と、べえっと舌を出した。こうへいのいじわる!あたしは、うらみの気持ちを思いっきりこめて、こうへいをにらんでやった。目の前で笑っている、学年一せが低くて、いつもキイキイうるさい、おさるみたいなこうへいを。

●FMラジオのDJみたいにおしゃれな校内放送をするのが、ずっと前からの夢だったかえでは、憧れの放送委員になることができました。ところが、同じ放送日のペアになったのは、いつもふざけてばかりの“こうへい”。かえでは、自由気ままなこうへいに振り回されて、毎回イライラを募らせることになります。
男女で対立しがちなこの年頃の子ども達の様子と、思い通りにならない状況の中でも少しずつ成長していく子ども達の等身大の姿が描かれています。

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