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3年生の今月の本


俳句(はいく)ガール タイトル 俳句(はいく)ガール
著者 堀 直子(作) 高橋 由季(絵)
出版社 小峰書店
 

「あーあ」学校からの帰り道、思ってもみない大きなため息が出て、つむぎの体から力が全部ぬけていった。
おかあさんは、今日もおばあちゃんの家に行っている。今日もまた、せんたくものを取りこんで、夕ごはんのお米をとぎ、風呂そうじをするのは、つむぎの役目だ。つむぎが、おかあさんの代わりに家事をするようになったのは、となり町でくらすおばあちゃんの世話を、おかあさんがするようになってからだ。おばあちゃんは八十歳。ヘルパーさんがおばあちゃんのめんどうを見てくれることになったけど、おかあさんは毎日おばあちゃんの家に行く。おばあちゃんは、おかあさんのおかあさんなので、それもしかたのないことだ。
「でもさ・・・」つむぎは口を曲げる。おかあさんがいないと、つむぎばかりに用事がふえて、何だかてんてこまいだ。おとうさんは、いつも仕事の帰りがおそい。おねえちゃんは、勉強や部活を理由にして、家事を全部つむぎに押しつける。クラスの友達は塾や習い事にかよっているのに、つむぎは家事でいそがしい毎日だ。わたしだって、他の子みたいに英語の塾にかよって、“グローバルな人間”っていうのになってみたい。でも、わたしを待っているのは、今日も“お米とぎ”だ。
「あーあ」また大きなため息が出た。

●仕事や介護でいそがしい両親と、「東大に受かるため」という理由で全く家事をしない姉。つむぎは、“素直な良い子”として用事を押しつけられることに不満を抱きながらも、家事やお母さんのお手伝いで忙しい日々を送っていました。そんな中、お母さんのおつかいで立ち寄った介護施設で、つむぎは偶然「俳句」と出会います。
 素直な気持ちを短い言葉で表現する俳句の面白さに、どんどん魅了されていくつむぎ。本気で取り組めるものに出会って成長していく女の子の姿が、テンポの良い文体で描かれています。

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