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3年生の今月の本


だれもしらない図書館のひみつ タイトル だれもしらない図書館のひみつ
著者 北川 チハル(作) 石井 聖岳(絵)
出版社 汐文社
 

「ふう、今日は大はんじょうだったわね」
夕ぐれ、一人きりになった館内で、司書のしおりさんがつぶやきました。ここは、夜(よ)長森(ながもり)図書館(としょかん)。学校の夏休みがはじまったこともあり、たくさんの人がやってきました。宿題をする子どもたち、新聞を読みにくるおじいさん・おばあさん、新しい絵本を借りにきたママ・パパ、調べものをする先生、「ねぇねぇ、しおりおねえさん」とおしゃべりにくる人・・・。おかげで、図書館を一人できりもりするしおりさんは、一日中大いそがしでした。
 戸じまりを終えて帰ろうとしたしおりさんは、ふと足を止めました。しおりさんが帰ろうとすると、いつも決まってだれかの視線を感じるのです。でも、どこにも人かげはありません。ただそこにいるのは、木ぼりのオルゴール人形『マザー・ブック』だけでした。マザー・ブックはかなり古い人形なので、もうオルゴールを鳴らすことができません。でも、ロングドレスに身をつつみ、左手で本をだいて、右手で羽のしおりを天にかかげるすがたは、まさに『本の神』とよぶべき堂々たるものでした。
「ま、いいわ。だれもいるわけないもの。じゃあ、夜のるすばんをおねがいね、マザー・ブック!」しおりさんがそう言うと、マザー・ブックが少しだけほほえんだように見えました。

●人気がなくなった深夜、もう壊れているはずのマザー・ブックのオルゴールが鳴り始めると、夜長森図書館の本たちに生命が吹き込まれます。マザー・ブックの力によって、本たちに手足が生え、自由にしゃべったり動きまわったりできるようになるのです。そんな夜長森図書館で、ある日、大事件が起こります。本たちは協力して事件を解決しようとするのですが・・・。

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