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3年生の今月の本


とびらをあければ魔法の時間 タイトル とびらをあければ魔法の時間
著者 朽木 祥(作) 高橋 和枝(絵)
出版社 ポプラ社
 

 もう二か月も、おんなじ“メヌエット”をおけいこしている。いつまでたっても、花丸どころか丸ももらえない。先生は、「これは楽しい曲で、苦しい曲じゃないんだけどなあ」なんて言う。たしかに、わたしの前の生徒は、かるがると楽しそうにひいていた。わたしより小さいのに、メヌエットなんかたったの二週間であがって、すごく大きな花丸をつけてもらっていた。
 「バイオリンを習いたい」とお母さんにおねがいしたのは、わたしだ。でも、メヌエットは、わたしにはぜったい、ぜったい、むずかしすぎる。ちっとも上手にならないまま、家でも毎日この曲ばっかり練習している。だから、メヌエットの前奏がはじまったとたん、犬のトトは、ぴゅーっとへやのすみににげていってしまう。わたしがバイオリンをひいている間じゅう、トトは前足で頭をかかえてうずくまり、ハアハア言っている。そして、やっとおけいこが終わると、大きな大きなため息をつくのだ。
 …ため息をつきたいのは、わたしの方だ。わたしも頭をかかえてにげだしたい。ああ、いっそ、犬になりたい。

●重い足取りでバイオリン教室に向かう途中、偶然目に留まった小さな店。教室に行きたくない気持ちも手伝って、その「すずめいろ堂」という不思議な雰囲気の店に入ってみると…。そこは床も天井も棚に並んだ大量の本も全てが“すずめいろ”に染まった、なんとも不思議な空間でした。
悩んでいる時に優しく背中を押してもらえる、温かくてちょっと幻想的なお話です。

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