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> セイギのミカタ
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タイトル |
セイギのミカタ |
著者 |
佐藤 まどか(作) イシヤマ アズサ(絵) |
出版社 |
フレーベル館 |
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「すげーっ、木下の顔、まっかっかだぞ!」
すぐそばから大きな声が聞こえて、ぼくはあわてて机の上につっぷした。さっきの授業で先生にあてられそうになったみたいに、何かはずかしいことがあると、ぼくの顔はまっ赤になる。もうとっくに授業は終わってるのに、休けい時間になった今も、ぼくの顔はまっ赤なままだ。そんなときは、カッカとほてる耳を両手でかくして、みんなに顔を見られないようにうつむくしかない。
「見ろよ、耳まで赤いぞ!トマトみてえ!」
この声は、田中大我(たいが)にちがいない。大我の声に続いて、みんながどっと笑う声が聞こえた。去年のクラスメイトから「大我から“イジられキャラ”にされると大変だぞ」と、さんざん聞かされてきた。だからぼくも、あの田中大我とだけは同じクラスになりたくなかったのに。いたたっ!大我に左耳をぐいっとひっぱられて、むりやり顔を上げさせられた。そのとき―
「やめろよ!田中くん!」
かん高い声がひびいた。ああ、来ちゃったよ、セイギのミカタが・・・。
●“ぼく”木下守は、目立たず静かに過ごしたいと願う大人しい男の子。しかし、同じクラスになった大我から毎日からかわれるようになり、事あるごとにみんなの笑いのネタにされてしまいます。そして、そんな時には決まって、“セイギのミカタ”と揶揄されている男の子が助けにやってくるのです。
いじめや“イジり”のターゲットにはされたくない。でも、それを誰かに止められて騒ぎが大きくなるのはもっと困る。ずっと事なかれ主義で過ごしてきた守は、悩みながらも色々な人の考え方に触れる中で、少しずつ本当の“勇気”について考えるようになります。
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