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3年生の今月の本


ぼくたちの緑の星 タイトル ぼくたちの緑の星
著者 小手鞠 るい(作) 片山 若子(絵) 
出版社 童心社
 

 ここは、学校から家に帰るとちゅうにある、小さな公園。ここには、遊んでいる子どもも大人も犬もねこも小鳥もいない。きのうもいなかったし、今日もいないし、明日も明後日もきっといないだろう。そんな場所に、ぼくは毎日ひとりで友達に会うためにやってくる。ここにぽつんと1本だけ立っている、一人ぼっちでさびしそうな木。これが、ぼくのひみつの友達だ。
 前は、学校にも友達がいた。でも、変わってしまった今の学校では、だれとも仲良くしてはいけないことになっている。先生に代わってやってきた“シドウイン”は、全員の名前を取りあげて、代わりに番号を使うよう命令した。今のぼくの名前は「1956317KK」だ。シドウインの指示にはだまって従い、質問も発言もしてはいけない。学校だけじゃなく、家でも外でも自由に話してはいけない。そんな決まりが作られて、それを守らなければ減点されて成績を下げられる。そして、あまりに成績が下がると、“社会の決まりを守れないもの”として、この国で暮らせないようにされてしまう。
 そんなことにはなりたくない。だから、いつもじっとだまっているしかない。心の中には、言いたいことや聞きたいことがこんなにたくさんあるのに。

●ある日突然変わってしまった社会。そこでは、大人も子どもも「ゼンタイ・モクヒョウ」に向かって協力することが求められるようになりました。家族団欒や友達付き合いも含めた他者とのコミュニケーションが禁じられ、政府から派遣されてくる「シドウイン」の指示や命令に従うことが何より重んじられます。閉塞した監視社会の中で、少しずつ心を失っていく人々。これは過去の話か近未来の社会の姿か・・・読み進めるうちに多くのことを考えさせられます。

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