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3年生の今月の本 > 3年生におすすめの本
> フングリコングリ
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タイトル |
フングリコングリ |
著者 |
岡田 淳(作・絵) |
出版社 |
偕成社 |
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その日、一年一組の四時間目は算数で、くりあがりのあるたし算をしていた。
アスカは、先生の説明を受けて、くりあがりのあるたし算をすっかり理解することができた。だから、そのあとの練習問題もあっという間にできてしまった。そこで、たいくつになったアスカは、こっそり指遊びをはじめた。右手の親指と左手の人さし指をくっつけて、それより少し上で、右手の人さし指と左手の親指をくっつける。今度は、右手の親指と左手の人さし指をもっと上の位置でまたくっつける・・・というのをくり返す。そうすると、両手が自然にどんどん上がっていく――という遊びだ。この遊びを教えてくれたカズマは、これを“フングリコングリ”とよんでいた。
そういうわけで、アスカは算数の時間中にフングリコングリを始めたのだった。でも、すぐに手が頭の上まで上がって、そこから先は続けられなくなってしまう。先生が他の子の練習問題につきそっている間、アスカは、どうすればもっと長くフングリコングリを楽しめるかをなやんでいた。そして、「手が上がるのをがまんすればいいんだ!」と思いついた。よーし、一生懸命がまんしてみよう。おさえて、おさえて。上がっちゃだめよ、だめだめ。まだよ、まだまだ、がまんがまん・・・。
それが、なんとも不思議な出来事の始まりだった。
●図画工作の先生が、図工室にやってくる小さな動物や昆虫たちにいろんな話を語り聞かせる形で物語は進んでいきます。指遊びをするうちに少しずつ空へとのぼっていく一年生のお話、呪文を唱えるとみんな透明人間になってしまう二年生のお話、“カックン”でみんなを優しい気持ちに変えることのできる三年生のお話・・・。学校を舞台にした、ファンタジックであたたかいお話が詰まった短編集です。
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