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3年生の今月の本


黒ねこのおきゃくさま タイトル 黒ねこのおきゃくさま
著者 ルース・エインズワース
出版社 福音館書店
 

 むかしむかし、ひとりのまずしいおじいさんが、ほうきでゆかをはきながら、ふうっと、ためいきをつきました。
「ああ、なんて今夜はさむいんだ。かがむと、せなかがいたむなあ。年をとって、体が弱ってきたうえに、金があまりないと、人生はつらいものだ」
「そうだ、今夜は土曜のばんだ」
 おじいさんは、思い出して、にっこりしました。

「一週間にいちどだけ、土曜のばんは、おいしい肉のごちそうと、ねる前に、ミルクにひたしたパンを食べる日だ。ミルクにひたしたパンは、体をとってもあたたかくしてくれる。それで、ようくねむれるんだ」
 おじいさんは、へやのすみに、ほうきをたてかけようとしました。するとそのとき、とびらのむこうで、なき声がしたようでした。おじいさんは、耳をすましました。またなき声がしました。戸口へいくと、とびらを、ほんの少しあけました。風がいきおいよくふきこみ、雨が強くふりかかり、やせた黒ねこがはいってきました。

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