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3年生の今月の本


みんなのおばけ小学校 タイトル みんなのおばけ小学校
著者 市川 宣子(作) 石井 聖岳(絵) 
出版社 佼成出版社
 

 るるる……。校長室の電話が鳴っています。「おはようございます、桜小学校です」花野かほる校長先生が受話器をとると、「あのね、むすめは転校させますから!」いきなりきんきん声が耳にとびこんできました。今朝もまた一人…、この一週間で八十三人が転校していました。そのわけは、入学式の写真。桜が満開(まんかい)の校庭で、十五人の新一年生がにこにこわらっている、そのうしろに、たしかにぽおっと、おばけが写っていたのです。しかもひとりではなく五人もの白いかげが、にやにやわらっているのです。この写真がインターネットで話題になってから、校長室の電話は鳴りっぱなしです。しまいには、全校児童はたった五人、先生はかほる先生ただ一人になってしまいました。
 その日の帰り、かほる先生は学校のうらの墓地(ぼち)にやってきました。なくなった前校長のぼんたろう先生のお墓(はか)まいりをするためです。じつは桜小学校はかほる先生の母校、そしてぼんたろう先生とは桜小の同級生で、六年間ずっといっしょに学級委員をつとめたあいぼうだったのです。(おそくなってごめんね、ぼんたろう)すると、頭の上から声がしました。「かほるちゃん? かほるちゃんだろ?」桜のえだの上に、いがぐり頭の男の子がこしかけていました。それは、かほる先生の初恋(はつこい)の男の子、おさななじみのごんちゃんでした。でも、かほる先生はあわてて(そんなわけないじゃない、ばかねぇ)と自分をしかりました。だって「ごんちゃん」は六さいの春、桜山の沼(ぬま)にはまってなくなってしまったのですから。しかし、そうこうしているうちに、さかの上やあちこちのえだから、ふわりふわりと白いかげが立ちのぼったかと思うと、みるみる人の形になっていきました。……てっちゃん、けんけん、じろちゃん。かほる先生の頭に、なつかしい名前がつぎつぎうかんできました。みんな桜小の同級生、毎日桜山であそんでいた古い友だちでした。

●入学式の写真に写っていたおばけの正体とは……もうおわかりになりましたよね。そうです。かほる先生の同級生たちがおばけになっていたのです。おばけたちは自分たちのせいで桜小が「おばけ小学校」とよばれ、廃校になるのは申し訳ないといって、給食作りや花壇の手入れなどの手伝いを申し出ます。おばけたちにあたたかく見守られながら、かほる先生と五人の児童の一年間が始まります。

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