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> 俳句ステップ!
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タイトル |
俳句ステップ! |
著者 |
おおやなぎ ちか(作) イシヤマ アズサ(絵) |
出版社 |
佼成出版社 |
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朝、相沢裕太が、教室の入り口から一直線にあたしのせきに来た。ふだん、あたしに話しかけてくることなんてないのに……、なに?
「なあなあ。当間、ちょっと聞いてくれるか。『バラを見るよりもだんごを食べたいぞ』どお?」
ちらっと、先生のつくえを見る。バラの花が、花びんに生けられていた。
「ことわざのつもり?だったら、『花よりだんご』でしょ」
後ろのせきから、佐々木早智恵さんがあきれたような声を出した。
「わかってないな~。これは俳句なの。『花よりだんご』じゃ、五七五になってないだろ。当間は、おれのばあちゃんと俳句をやってるんだ。なっ、当間。おれのは、ちゃんと俳句になってるよな」
確かに五七五にはなってる。でも……いい俳句だね、とは言えないよ。だからといって、あたしは、それを下手だといえる立場でもない。こまった。まずい、顔があつい。
あたしは、いつも言いたいことがぱっと出なくて、頭の中で言葉をさがす。そのうちにだれかが先に話しだして、あたしはだまったままになることが多い。いまも相沢と早智恵さんに見つめられて、あたしは何も言えずにかたまってしまった。
●裕太のおばあちゃんから俳句を教えてもらっている七実は、恥ずかしがり屋の女の子。普段から、クラスの中でも極力目立たないよう静かに過ごしています。
ある日のこと、七実にとって大事件が起こります。七実が密かに作った俳句が、市の俳句大会で大賞を受賞したというのです。でも、その俳句の作者になっていたのは、なぜか同じクラスの早智恵でした。誰にも教えていないはずの俳句が賞をもらって、しかも他の子が作ったことになっているなんて……。混乱する七実は、この事件とどう向き合うのでしょうか?
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