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3年生の今月の本


くりぃむパン タイトル くりぃむパン
著者 濱野 京子(作) 黒須 高嶺(絵)
出版社 くもん出版
 

 ランドセルをせおって玄関を出ると、すぐに「待ってよ、香里ちゃん」と未果が追いかけてきた。
「あたし、日直だから先に行くの。言わなかったっけ」そう答えたものの、わざと伝えなかったのだから、もちろん未果に言ってなかったことはわかっている。
 半月ほど前から、未果はあたしの家でくらしている。学校でも同じクラスだ。未果は背が高くてきれいな子で、そのうえ勉強も運動もできる。あっという間にクラスの人気者になった未果を見て、最初のころはあたしもうれしかった。
 だけど、未果のことを自慢に思ったり、仲良くなりたいと思ったりしたことを、あたしはすぐに後悔するようになった。未果は、みんなにいい顔をする。学校でも家でも。それでみんなも、未果ちゃん、未果ちゃんって、ちやほやするのだ。それがしゃくにさわるから、ときどき意地悪をしてしまう。でも、未果はそんなの全然気にしてないって感じで、にっこり笑う。それを見て、あたしはよけいに不ゆかいになるのだ。

●失業してしまったお父さんに連れられて、遠い親戚である香里の家にやってきた未果。香里は、勉強も運動もできるしっかり者の未果と自分が比較されているような気がして、だんだん未果の存在を疎ましく感じるようになります。
 境遇の違う同い年の女の子同士が、様々な出来事を通じて成長しながら少しずつわかりあっていく様が描かれています。

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