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> ばーちゃる
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タイトル |
ばーちゃる |
著者 |
次良丸 忍(作) |
出版社 |
金の星社 |
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「さあ、ひと仕事、今日も始めるとしますか」
自分しかいない部屋でひとりごとを口にしながら、ぼくはノートを1冊取りだした。緑色の表紙には「1977」と書かれている。2年前に亡くなったおばあちゃんの古い日記だ。仕事はまず、タブレットのカメラで、日記を1ページずつ写していくことからはじまる。母さんにたのまれて始めたバイトだけど、ぼくにとってはいいこづかいかせぎだ。
テーブルの上に置かれた、金属製の四角いハコ。あれがうちにやってきたことが、このバイトの始まりだった。遠目から見た感じだと、高級なクッキーの缶やお弁当ばこのようにも見える。でも、中に入っているのは、香ばしいバタークッキーでも、ごましおをふりかけたごはんでもない。
スーパーイメージプロジェクター、その名も「SIP」。その人が生きていた頃のデータを入力すれば、動いたり受け答えをしたりする立体映像をうつしだせるらしい。つまり、亡くなった人を、いつでも生き返らせることができるってこと。それがこのハコの正体だ。
●母さんが、勤め先の研究所から試作機を持ち帰ってテストを始めた「SIP」。実験的に入力されたおばあちゃんのデータを基に、SIPは本物そっくりのおばあちゃんの姿を映し出しました。それを見たダジャレ好きの父さんが、「ニセモノのおばあちゃんなら、ばあちゃんならぬ“ばーちゃる”だな」と名付けたのです。
ところが、おばあちゃんに関するたくさんのデータを取り込むうち、ただの立体映像だったはずの“ばーちゃる”は、次第に人間の感情を理解して自分の意志で行動するようになっていきます。
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