トゥルルル、トゥルルル。パンダの飼育係をしている鈴木さんの机の上で電話がなった。受話器をとると、聞こえてきたのは、ピーヒュルルルーという音。

「間違い電話かな」
と鈴木さんがぶつぶつ言っていると、突然、不思議な声で相手がしゃべり出した。
「わたくし、宇宙動物園ザナズーの珍獣こうかん局のルギスといいますが、珍獣担当の方をお願いします」
「はあ、ウチュウ動物園……ですか？　わたしは、確かにとても珍しい動物を飼育していますが……」
と、鈴木さんは用心深く返事をした。
「実は、わたしどもの宇宙動物園ザナズーは、今、地球の上空三千キロに浮かんでいます。地球のみなさまに、銀河系の珍しい動物を見ていただこうとやってきました」

　鈴木さんは、不思議な話や科学の話が大好きだが、電話の話はあまりにも現実離れしていた。
「ちょっと、あなた、わたしをからかっているのですか」
「と、とんでもありません。では、信じていただくために、ちょっとした奇跡を起こしてみせますよ」