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3年生の今月の本


どんぐり山のやまんばあさん タイトル どんぐり山のやまんばあさん
著者 富安 陽子
出版社 理論社
 

 ドングリ山のてっぺんに、やまんばあさんという、一人の山姥が住んでいた。

 年は、二百九十六歳。それじゃあ、きっとヨボヨボだろうって? いやいや、ドングリ山のやまんばあさんときたら、オリンピック選手よりも元気で、プロレスラーよりも力持ちだった。山のふもとから頂上までのけわしい山道も、やまんばあさんがかけ上れば、たったの四分三十秒。人間なら大人だって、一時間はかかる道なんだ。でも、隣り山に用事がある時には、やまんばあさんは、わざわざ山道を歩いて行ったりはしない。深い、ドキドキするほどけわしい谷間を、ぴょんとひとっ飛びに、飛びこしてしまえるから。

 ある朝のこと、やまんばあさんは、家の前にある、サクラの切り株にすわって、うつらうつらといねむりをしていた。その切り株には、フワフワの苔が生えた、ちょうどいいくぼみがあって、やまんばあさん、お気に入りの椅子だった。そこへ一羽のお客が飛んできた。
「やまんばあさん。やまんばあさん。ちょいと、起きてよ。」
  それは、真っ黒い羽のツヤハグロという名のカラスの奥さんだった。

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