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3年生の今月の本


竜の巣 タイトル 竜の巣
著者 富安 陽子
出版社 ポプラ社
 

 むかしむかし、おじいちゃんは小学生だった。信じられないかもしれないが、ほんとうなんだ。そのころのおじいちゃんは、そこらじゅうをピョンピョンとびまわってたもんだ。毎日学校へいって、かけ算の九九だとか漢字の練習なんかをさせられた。

 ただ、今とちがっているのはね、おじいちゃんの小さいころには、まだ世の中には、テレビだとかゲームなんてものがなかったのさ。だから、学校から帰ってきて、ぼくがまずすることといったら、外へ遊びにいくことだった。

 その日もぼくは、学校から帰ってくると、教科書のつまったカバンをげんかんに投げこみ、うら山まで走っていった。うら山は、そんなに高い山じゃなかった。そうだな、子どもがブラブラ歩いてのぼったって、頂上まで三十分もかからなかったと思うよ。でも、その日は頂上の近くまでくると、急にこいきりがでてきたんだ。そう。今考えてみると、あれはきりなんかじゃなかったのさ。その時、ぼくはもう、でっかい竜の巣の中にまよいこんでいたんだよ。

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