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3年生の今月の本


ワンピース戦争 タイトル ワンピース戦争
著者 丘 修三
出版社 童心社
 

 おなじ団地にすむ、ぼくとタケちゃんは、いつものように早くうちを出た。サッカーの場所とりのためだ。ぼくらが話しながらあるいていたとき、ピンクのワンピースをきた女の子が、ぼくのよこをおいぬいて、フワフワとチョウチョみたいにかけていった。すると、タケちゃんが目をまんまるくして、ぼくのうでをつかんだ。

「おい、ジュンちゃん!いまの、見たぁ?」
 タケちゃんは、いま、ぼくのわきをかけぬけていった女の子をゆびさした。
「あれがどうしたの?」
「あ、あれ、ゲンちゃん!」
 タケちゃんは、しんじられないものを見たといった顔で、目をパチパチとまたたいた。
「あれがぁ!」
 ぼくは走っていくピンクのワンピースを、もう一度しっかり見た。そういえば、黒いランドセルをしょっている。女の子にしては、かみもみじかい気もする……。だけど、頭には、白いリボンまでつけてるじゃないか。

  教室についたぼくらは、ドアのまえでおもわず顔を見あわせ、ガラッと、ドアをあけた。ピンクのワンピースに、白いリボンを左右のかみにゆわいたゲンちゃんが、すました顔で自分の席にすわっていたのだ。
「おれ、きょうはこれでいるんだ」
 ゲンちゃんは、そういってすましている。ぼくもタケちゃんも、サッカーの場所とりなんて、どっかへふっとんでしまった。そうこうしているうちに、クラスの子がやってきはじめ、ほかのクラスにもうわさがひろまって、ろうかがわいわい大さわぎになった。

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