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3年生の今月の本


きつねものがたり タイトル きつねものがたり
著者 ヨセフ・ラダ
出版社 福音館書店
 

 ホモリ山のふもとに、一けんの家がぽつんと立っていました。この家に森番のボビヌシカさんが、おくさんと、むすこのエーニク、むすめのルージェンカといっしょにくらしていました。
 ある日のこと、森番は、パトロールちゅうに、子ぎつねをつかまえました。
「そら、おみやげだよ」
 森番は、エーニクとルージェンカにいいました。
「このいたずらっこに、じょうとうなすみかを作っておやり」
 子どもたちは、あいている犬ごやにきつねをいれることにしました。赤毛で、あまりにていないけど、とにかく、きつねはヘクトルとスルタンの親類にちがいないから、というわけです。ヘクトルとスルタンというのは、森番につかえている、りょう犬でした。

「ばかばかしい、あんなきつねやろうに!」
「みろよ、スルタン! あんなりっぱなこやを、やるんだとさ」
 エーニクとルージェンカは、このきつねをたいへんかわいがりました。まい日、ふたりはきつねのために本を読んでやりました。いちばんよく読んできかせたのは、そうです、もちろん、りこうなきつねの話でした。このきつね、ふたりが読んでくれる話を、むちゅうでききました。そして、じぶんもはやく、話のなかのきつねみたいにかしこくずるくなるよう、勉強しようと決心しました。

 ヘクトルとスルタンは、かわいがられるきつねが、にくらしくて、にくらしくてたまりません。二ひきの犬は、ひそひそささやきあうと、とつぜんそろって小屋からとびだすと、耳がつんざくほどけたたましくほえたてながら、家のまわりをかけまわりました。どろぼうでもおいたてるようないきおいでした。ところが、これだけけんかをふっかけているのに、きつねはしらん顔、おちつきはらって、ねているじゃありませんか。ヘクトルとスルタンは、ますますおこってしまいました。

 きつねのほうは、犬たちがじぶんをきらっていると気づくと、ひとつこらしめてやろうと、思いました。きつねは、もうすっかり、人間のことばを話せるようになっていました。そこできつねが犬たちをこらしめるために思いついた方法とは? 主人のこわいろを使って、犬たちを右往左往させることでした。

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