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> はんぶんのおんどり
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タイトル |
はんぶんのおんどり |
著者 |
ジャンヌ・ロッシュ=マゾン |
出版社 |
瑞雲舎 |
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王さまの兵隊さんだった人が、年をとってから、自分の村へかえってくらしていました。そして、もうしぬのも間近だとわかったとき、ふたりのむすこをよんで、こういいのこしました。
「わしがしんだら、ざいさんは、なんでもはんぶんずつ、なかよくわけておくれ」
おとうさんがなくなり、いよいよ、ざいさんをわけることになりました。にいさんのソステーヌがいいました。 「ぼくは、むらのいえと、なかにあるものと、まわりの土地をもらうよ。おまえは、おんなじように、もりのいえをおとり」
おとうとのステファヌはあっけにとられました。なくなったおとうさんがじょうだんに“森のいえ”とよんでいたのは、とりをつかまえるときにとまる、小さなほったてごやでした。
かちくは、二とうのうち、にいさんがめうしをとったので、おとうとはめやぎをもらうことになりました。めんどりは六わいたので、三ばずつわけあいました。お金は、きんか百まいありましたが、にいさんがぜんぶとってしまいました。ステファヌがもらったのは、かみきれ一まい。
それは、王さまが、おとうさんにはらう給料のうち、まだ百エキュ(きんか百まい)はらっていないことをしょうめいする、かきつけでした。でも、王さまは、いままでこうしたおかねを、きちんとはらったことがありません。それどころか、はらってくださいといったばかりに、しばりくびにあった人もいます。
さいごに、おんどりが一わ。なんとにいさんは
「一わしかいないんだから」
と、おんどりをまっぷたつにしてしまいました。
ソステーヌは、そのかたいっぽうを、おとうとになげてよこすと、ぐいっとおとうとのかたをついて、そとへおしだし、ぴし
ゃりと戸をしめました。ステファヌは、ただもうかなしくて、ぼんやりと森のおくのこやにたどりつきました。そこではんぶんになったおんどりをしらべてみると、まだしんでいません。むちゅうになっててあてをすると、そのうちすっかりげんきになりました。ある日のこと、はんぶんのおんどりがいいました。
「いのちをたすけていただいたあなたに、おれいをするときがきました。さあ、いっしょに王さまのところへ、あの百エキュをもらいにいきましょう」
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