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3年生の今月の本


カエルのべんとうや タイトル カエルのべんとうや
著者 安江 リエ
出版社 福音館書店
 

 あかるい春の日、ひと仕事おえたカエルくんは、まどべでお茶をのんでいました。この家は、ひっこしずきの、ともだちのヒキガエルがすんでいたのですが、春になってヒキガエルが、またひっこしてしまったので、カエルくんがすむことになったのです。

「いいおてんき。きょうはほんとに、ピクニックびよりだなあ」
 あおい空、クローバーのしろい花、ふんわりしげったクローバーのはっぱの上でひろげるおべんとう。
「うーん、おいしそう」
 カエルくんは、ごくんとつばをのみこみました。でも、いっしょにたべる友だちが、そばにいないのです。

「あーあ、ともだちほしいなあ」
 カエルくんはためいきをついて、こう茶をのみほしました。
「そうだ、べんとうやをはじめればいいんだ。そしたら、友だちだってできるし、その友だちとおべんとうをもって、ピクニックにだっていけるさ」
 そう考えると、なんだかうきうきしてきました。

 まず、せんでんです。カエルくんはさっそく、ポスターをつくることにしました。
『カエルのべんとうや』のかんばんもつくって、ドアのよこにたてました。
「うん、これでよし」
 カエルくんはにっこりわらって、ねむりにつきました。

 つぎの日は雨。そのつぎの日も雨でした。べんとうやに、おきゃくさんはやってきませんでした。そしてそのつぎの日の、さわやかな朝。カエルくんがまどをあけたとたん、ぶーんとミツバチがとんできました。
「花ふんだんごのおべんとうを、ちゅうもんにきたの」
 カエルくんはあわてて、れんげ畑にでていきました。おだんごは、れんげの花ふんをあつめてみつをまぜ、カエルくんのゆびさきぐらいの大きさにまるめます。かくしあじに、きいちごのおさけを一てき。おだんごを十こほどつくると、おおばこのはをしいた、からすうりのかごにいれて、ミツバチのべんとうはできあがりです。

 はじめてのしごとはうまくいきました。すると、ゆうびんやのハトがやってきました。
「こんにちは。ぶなの森のクマさんからおてがみです」
 ハトのわたしてくれたてがみをひらくと、
「カエルのべんとうやさんへちゅうもん。 しょくごのデザートにはちみつがすこしほしいです。ぶなの森クマ」
 かみいっぱいにかかれた、大きな字が目にはいりました。
「ク、クマだって……」 

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